引き分けはどのくらい起きるのか
公開
引き分けは、3つの結果のうちいちばん忘れられやすい結果です。「どちらが勝つか」 で考えていると、そもそも選択肢に上がってきません。ところが公開データを数えると、 引き分けはおよそ4試合に1回起きています。この記事では、実際の頻度と、くじを買った人たちが選んだ量と、 本サービスのモデルの扱い方を順に並べます。
実際には何試合に1回起きているのか
掲載している開催回に出てきた試合のうち、結果が付いているものを1試合ずつ 数えました。同じ試合が複数の回や商品に入るので、試合の識別子で重複を除いています。回ごとに数えると、多くの回に入った人気の組み合わせだけが何度も 数えられ、割合がその試合の結果に引きずられるからです。
数えた 3,122試合のうち、引き分けは 818試合 (26.20%) でした。ホーム勝ちが 1,265試合 (40.52%)、アウェイ勝ちが 1,039試合 (33.28%)です。引き分けは3つの中でいちばん少ない結果ですが、切り捨てられるほど小さくもありません。
数え方を変えても、近い値になります。予測1件ずつを採点している代表成績と 同じ母集団 (16,440件) では、実際に引き分けだったのは 4,124件 (25.09%) でした。
この2つは対象が違います。前者は試合を1件ずつ、後者は予測を1件ずつ数えたものです。同じ試合が 複数の回に入れば、後者では複数回ぶん数えられます。どちらも「4試合に1回 ほど」という同じ水準を指していますが、引き算して差を出す種類の数字では ありません。
大会によって少し違います
同じ集計を大会ごとに分けると、引き分けの割合には幅が出ます。分母は、その 大会で結果と照合できた予測の数です。
| 大会 | 数えた予測 | 引き分けだった割合 |
|---|---|---|
| 明治安田J1リーグ | 7,250 | 23.49% |
| 明治安田J2リーグ | 6,142 | 26.65% |
| 明治安田J3リーグ | 1,362 | 26.43% |
| Jリーグカップ (ルヴァンカップ) | 1,088 | 24.17% |
| 明治安田J2・J3百年構想リーグ | 398 | 25.88% |
いちばん多いのは 明治安田J2リーグの 26.65%、いちばん少ないのは 明治安田J1リーグの 23.49% です。開きはありますが、どの大会も「4試合から5試合に1回」の範囲に収まって います。大会を変えれば引き分けが消える、という性質のものではありません。
分母が 300件に満たない大会は表から外しています (1大会)。件数が少ないと、率が偶然で大きく動くためです。外した数をここに書いている のは、「その大会が無い」と読まれないようにするためです。
買った人たちは、引き分けを少なく選んでいます
公式は、どの結果に何票入ったかを回ごとに公開しています。この得票の分布を そのまま「人の集まりの予想」とみなし、同じ試合で実際に起きた結果と並べた 検証があります。対象は 67回 870試合 です。
| 引き分けの割合 | 値 |
|---|---|
| 実際に引き分けだった試合 | 24.02% |
| 得票のうち引き分けに入った票 | 20.31% |
| 本サービスの予測 (引き分け確率の平均) | 24.80% |
引き分けに入った票は、実際に引き分けが起きる率の 84.6% にとどまりました。人の集まりは引き分けを、起きている頻度より少なく選んで いた、ということです。理由は考えやすいものです。試合の話は「どちらが強いか」 で語られ、引き分けはその物語の外に落ちます。勝敗の見立てが上手い集まりでも、 この一点は苦手でした。
人の集まりとの比較の全体像は AI の予測は当てられるのか にあります。確率の正確さでは本サービスが上、どれが起きるかを的中させた率では 買った人たちの方がわずかに上、という結果でした。
この検証は 67回 870試合 を対象にしたもので、上の節で数えた掲載回の 試合とは対象が違います。並べて水準を見るための数字で、表をまたいで引き算は できません。
モデルは引き分けをどう作っているか
本サービスのモデルは、「引き分けになる確率」を直接あてにいきません。順番は逆です。まず、過去の試合結果からチームごとの攻める力・守る力と ホームの有利さを推定し、その試合で両チームが何点ずつ入れそうかを計算します。 次に、0対0、1対0、2対1 …と起こりうるスコアの確率を一枚の表に並べます。 最後に、同点になるスコアの確率を全部足したものが、引き分けの確率です。
得点の数え方には「ポアソン分布」という決まった形を使います。1試合の得点の ように、めったに起きない出来事が何回起きるかを表す形です。ただし、この形の ままだと点の入らない試合の出方が実際とずれます。そこで0対0・1対0・0対1・1対1 の4つのスコアだけに補正を掛けています(考案した2人の名から「ディクソン・コールズの補正」と呼ばれる項です)。この 4つのうち2つは引き分けなので、補正は引き分けの確率にそのまま効きます。
結果として、モデルが出した引き分け確率の平均は 24.80% で、同じ試合で実際に起きた 24.02% に近い値でした (67回 870試合)。引き分けを少なめに見積もる癖は、 少なくともこの母集団では出ていません。
引き分けを外すと、全部の的中は遠のきます
toto のように枠が多い商品では、1枠でも外れた時点で1等は消えます。引き分けが4試合に1回ほど起きるなら、枠が並んだ回に引き分けの枠がいくつか 混ざるのがふつうです。全部の枠をホームかアウェイのどちらかで埋めると、その回 に引き分けが1つでもあった時点で終わります。
だからといって、引き分けを多く選べば的中に近づく、という話にもなりません。上で数えたとおり、実際に起きた割合では引き分けが3つの中でいちばん少ない結果です。多く選べばその枠を外す回数も増えます。枠ごとに出ている確率をそのまま読むより 先の近道は、ここにはありません。
「引き分けを何枠入れると全部の的中がどれだけ動くか」という数字は、この記事 では出しません。回に入っている試合の組み合わせで変わる値で、一般の目安として 書けるものではないからです。回ごとの数字は toto のページ に、その回の全枠を的中させる確率として出しています。
この記事のまとめ
- 数えた 3,122試合のうち、引き分けは 818試合 (26.20%) でした。
- 大会ごとに幅はありますが、どの大会も同じくらいの水準に収まっています。
- 買った人たちの票は、引き分けが実際に起きる率の 84.6% にとどまりました (67回 870試合)。
- モデルは引き分けを直接あてにいかず、起こりうるスコアを並べて同点になる分を 足し合わせています。