スポーツの結果に偶然はどれだけ混じるのか
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強いチームがいつも勝つなら、スポーツを観る理由はかなり減ります。実際には そうなりません。どれくらいそうならないのかを、数字で測るとどうなるかを書きます。この「そうならなさ」が、予測の上限を決めています。
サッカーは何点入る競技ですか
確定した 3,199 試合の 1試合あたりの総得点は、平均 2.56 点です。両チームとも得点した試合は 51.5% (1,647 試合)。
この「点が少ない」という性質が、偶然が結果をひっくり返しやすい原因です。点がたくさん入る競技なら、実力の差は試合の中で平均されて表に出ます。 1点や2点で決着する競技では、1回のはずみで勝敗が入れ替わります。実力が 上のチームが押し込み続けても、0-1 で終わることがあります。
いちばん多いスコアでも、全体に占める割合は 69.9% にとどまります。特定のスコアに集中しているわけではありません。
結果は3つにどう散らばっていますか
確定した 3,199 試合では、 ホーム勝ちが 40.4%、引き分けが 26.1%、アウェイ勝ちが 33.5% でした。
注目したいのは引き分けです。4試合に1回ほど起きているのに、予想では選ばれにくい結果でもあります。どちらかが勝つと考えるほうが自然に感じられるからです。 この「起きるのに選ばれない」というずれが、本命が外れる主な原因の1つに なっています。
偶然の分は、どれくらい残りますか
測る方法があります。その試合の前後1年ぶんの結果を先に知っているモデルを作り、同じ物差しで採点するのです。未来を見ているのだから、残っているのは 「どうやっても分からない部分」だけになります。
結果は、当てた率で 47.2% でした (J1の1,744試合で測定)。3択なのに、答えを見ても5割に届きません。裏を返せば、半分以上の試合は「先のことを知っていても読み切れない」という ことになります。
この数字は、予測の良し悪しを測るときの基準になります。的中率が5割に届かない ことを「モデルが悪い」と読む必要はありません。この競技にはそういう上限がある、というだけです。
偶然が多いことは、観る側にとって何を意味しますか
格下が格上を倒す試合が、珍しくない頻度で起きるということです。順位表の上下が そのまま結果になるなら、対戦カードを見た時点で試合は終わっています。そうならないから、90分を観る意味があります。
確率を先に見ておくと、この見え方はさらに変わります。「28% の側が起きた」と 分かっていれば、番狂わせは事故ではなく、起きると言われていたことが起きたという受け取り方になります。予測を観戦の道具として使う、という向き合い方です。
上限と、本サービスの成績を引き算しないでください
上限は J1の1,744試合で測ったもので、本サービスの代表成績は 掲載している回の予測です。対象の試合が違います。並べて水準を見るための値であって、差を取って「あと何ポイント動かせる」と 読む種類の数字ではありません。
母集団の違う数字を引き算しないというのは、本サービスが記事全体で守っている 決まりです。同じ母集団の中での差 (たとえば基準となる当て方との差) は引き算 してよく、そうでないものはしない。どちらなのかを、そのつど書くようにしています。
情報を増やせば、偶然の分は減りますか
あまり減りません。ここが直感に反するところです。出場メンバー、けが人、 移籍、監督の交代。どれも結果に関係しそうですし、実際に関係しています。 それでも上限そのものはほとんど動きません。先ほどの測定は、未来の結果まで見せたうえでの数字だからです。情報を足して 近づける余地があるとすれば、それは上限までの部分であって、上限そのものを 押し上げることはできません。
未来を見ても5割に届かないということは、残っている不確かさが情報不足によるものではないことを示しています。90分のあいだに何が起きるかは、事前にどれだけ材料を そろえても決まりません。ゴールポストに当たって跳ね返るか入るか、といった ところで勝敗が分かれます。
本サービスが選手の情報を使っていないのも、この見立てと関係しています。 集めるのが難しいからではなく、入れても的中率が上がりにくいことを測った うえでの判断です。加えて、くじの締切はキックオフより前なので、 出場メンバーはそもそも確定していません。手に入らない情報を前提にした 設計にはできない、という事情もあります。
この記事のまとめ
- サッカーは得点が少なく、1回のはずみで勝敗が入れ替わります。
- 引き分けは頻繁に起きるのに、予想では選ばれにくい結果です。
- 答えを先に知っているモデルでも当てた率は 47.2% 前後。偶然の分がそれだけ残ります。
- 上限と本サービスの成績は母集団が違うので、引き算できません。